まあ、世の中いろいろとありますけど、今回は戦争にちなんだ本を。
まず写真家、長倉洋海著『アフガニスタン 敗れざる魂-マスードが命を賭けた国-』から。
ヒンドゥクシ山脈の近く、パンシールに拠点を持った北部同盟の司令塔アハマッド・シャー・マスードはニューヨークテロの2日前にテロにあい、亡くなりました。彼の顔写真をBSニュースで見た時、神学者かと思った程でした。穏やかなその表情からは、とても旧ソ連をアフガンから撤退させ、タリバーンと戦い続けているとは思えませんでした。そんなマスードと親友だった写真家が、彼の思い出とアフガンの地を描いています。パンシールの大地は緑におおわれ、川が豊かに流れるその写真には、ソ連がアフガンに侵攻する以前の幸せだったアフガンの風景があります。
次に『アフガンの四季』。カーブル大学に留学していた著者のエッセイです。極寒の冬のアフガンから始ります。ヒマラヤ山脈から吹き下ろす風と雪。アフガンではその冷たい雪が多く積もるほど翌年の収穫は多くなります。乾いた地で生きる人々にとって、冬の厳しさは来るべく春の喜びにかわってゆくのです。
王制崩壊のクーデターに沸き立つアフガンで、老人の「ただ牛が立って、そのあとにロバが座っただけだろう」という言葉がとても印象に残っています。
まだ記憶に新しいイラク戦争。米軍に従軍取材した記者がかいた『イラク戦争従軍記』は紙面に出てこない戦争の裏側が少しだけわかります。情報の錯綜、疑心暗鬼、単純なミスで失われる命。結局、あの戦争は何だったんだろう、と改めて思う本です。私には米大統領演説の「正義のために」という言葉が、サダム・フセインの「神は偉大なり」という言葉と重なってしまいます。戦争の最中にいて、自問自答する記者の姿が浮かんできます。
最後に『東京焼尽』。これは第二次世界大戦の話ですので、時代がぐっと戻ります。終戦間近の1年間を日記に記しています。頭上を飛び回るB29の機体に炎が写り込み、イモリの腹のようだ、という表現には極限状態の人間の心理を垣間見ることができます。
この百間先生、ほんとうにお酒が大好きなようで、日記の端々に「お酒がない」という文字がたくさん出てきます。うん、庶民は強かだ。

アフガニスタン敗れざる魂―マスードが命を賭けた国
アフガンの四季 (中公新書 628)
イラク戦争従軍記
東京焼尽 (旺文社文庫)