『剣客商売』

時代小説

朝の通勤電車で読む本を探していたら、結構時代小説がよかったのでそれを。
朝の眠い頭で、しかも40分も立ったままの状態だったので、なんだかすっきりしたかったんです。 池波正太郎著『剣客商売』。新潮文庫から新装版で、文字も大きくなってでています。以前フジテレビ系列で、藤田まことと小林綾子の夫婦でシリーズ放映されていました。好きで毎週見ていました。
池波作品は文章中にでてくる食べ物が、それはそれは美味しそうに書かれています。とくに日本酒とあいそうな料理がたくさんあります。大根のおいしいこの時期、ついついふろふき大根で日本酒、とか蕎麦がきで一杯、なんて思います。主人公の秋山小兵衛はそんな飲み方をしています。
この秋山小兵衛は、無外流という剣術の名士という設定です。息、大治郎もまた同じ流派の剣客。これに小兵衛の40才年下の妻おはる、田沼意次の妾腹の娘、三冬や御用聞きの弥七などが加わりさまざまな事件が展開します。
小兵衛は非常に金離れがよく、読んでいて気持ちいいくらいです。しかし、この作品の中の底には番外編『黒白』の最後に大治郎のいう「人は生まれてより、死ぬる日に向かって歩みはじめる。」ということがあるように思います。これは中国の民話にもでてきます。この剣客商売、なかなかに名言が多いですよ。「人というものは、他人のことならよくわかっても、おのれのことになると、さっぱりわからぬ生き物」など。
小兵衛のように清も濁も抱きすくめることのできる、器の大きな人間になりたいものです。
剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)

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