佐伯泰英の時代小説です。
まずは「密命」壮年の子持ち剣士・金杉惣三郎が主人公です。時代は八代将軍吉宗の時代になります。いろは火消し組の誕生や、八代将軍継承をめぐっての尾張との確執など、エンターティメント性もある楽しめる内容です。ただ途中から大岡越前守や八代将軍吉宗が出てきますが、このあたりから惣三郎の息子、清之助のキャラクターが坂崎磐音に似てくるような感じをうけました。毎回、父子それぞれの戦いと取り巻く環境が丹念に描かれています。

次は「狩り」シリーズです。時代は幕末、江戸の体制が崩壊しつつある中、勘定奉行を父に持つ凄腕の剣士・夏目影二郎が腐敗した八州廻りを「狩る」物語から始まります。八州廻りを次々と粛正する旅の中で、義賊と呼び名の高い国定忠治と交遊を持ちます。さまざまな思惑と人々が錯綜する幕末の独特の空気を描き出しています。最新刊は「忠治狩り」です。

「吉原裏同心」シリーズ。
安永年間の話です。主人公の神守幹次郎は幼なじみであり、納戸頭の妻汀女と駆け落ちをするところから話が始まります。第一巻「流離」の最後で裏同心になります。爛熟期を過ぎた江戸に残る、御免色里・吉原の女衆の挟持とそれを支える男衆の意地が見事に描き出されています。その意地と挟持を守るのが主人公とその妻なのです。
一番最新刊が待ち遠しいシリーズです。
密命〈巻之一〉見参!寒月霞斬り (祥伝社文庫)
八州狩り (光文社時代小説文庫)
流離 吉原裏同心 (光文社文庫)